そこに生きざるを得ぬ定め

そこに生きざるを得ぬ定め

子方がシテを務める狂言「重喜」。公演後に、実は子方が四十度近く発熱していたという舞台裏が主催側からポロリ出て。それでも演じきった役者たちに「よくやった!」の前に、隣りの隣りの席の不機嫌な老人が「けしからん!」と物言いを付けた (more…)

飛散、安宅の関からの

飛散、安宅の関からの

仕事納めのその日まで北陸に滞在、冬の日本海は例年になく穏やかだった。恋の季節を待ちきれず、若者たちが触れ合っていた「安宅の関」で、富樫ばりに詮議してやろうか、それとも弁慶ばりに打ってくれようかと私の胸の裡だけが荒れていたのだが、帰省して年が明けると (more…)

私的寒山拾得その弐

私的寒山拾得その弐

——寒山拾得が二人で描かれていることに、ようやく自分なりの解釈を得るも、私は投函された喪中葉書で旧友の母が亡くなったことを知ってしまった。

寺のかまど番をしていた拾得が寒山にその残飯を (more…)