私はそれを流れに垂らし

私はそれを流れに垂らし

今年の基礎講座も先日で終了。最後に迎えたのは能装束の研究家で、「内面的復元」を目指し活動するというその話に心底驚かされた。養蚕の品種はもちろん、餌もその桑の土壌まで往事に近付けて絹を生産する労力、情熱とはコピーでもレプリカでもない本物の復元 (more…)

工夫を愉しむ

工夫を愉しむ

年年歳歳人同じからず、「人生の残り時間」などと弱気な発言が飛び出したから驚いた。そして前触れなく魚も飛び出したから、二度驚いた。難しい秋の日中で孔子の倒れかと思わせたが、そこは山田プロ。山田プロフェッショナル (more…)

熟練者の休日

熟練者の休日

怱忙のうちにも、魚釣りに行けなかったわけではなかった。しかし、盛夏を目前に焦燥に駆られていたのも事実。物音を立てないようにして納戸から釣具を引っ張り出すも、建て付けの悪い戸がけたたましい音を上げたから母親に見つかった。安普請の廊下すなわち玄関に屹立するや (more…)

菊を釣る宇宙の下で

菊を釣る宇宙の下で

今や下品な成金が膨大なエネルギーから二酸化炭素を排出して、宇宙へ飛び立つ時代になった。市井の私たちは毎朝、決死の覚悟を持って感染リスクの中をエネルギー消費の少ない鉄道で移動しているというのにだ。露わになった格差に環境まで破壊されるのだから遣る瀬がない―― (more…)

シンポジウムと冷凍標本の行方

シンポジウムと冷凍標本の行方

「冷凍の標本は差し上げますので」と参加者全員に配られた特定外来生物の巨大ザリガニだったが、熱を帯びた論議に解凍され、若干臭ってきたから気が気でない。これは果たして茹でられているのだろうかという心配の他にも、どうしても持ち帰らねばならぬのか、またその場合はどのように食すのかと (more…)