熟練者の休日

熟練者の休日

怱忙のうちにも、魚釣りに行けなかったわけではなかった。しかし、盛夏を目前に焦燥に駆られていたのも事実。物音を立てないようにして納戸から釣具を引っ張り出すも、建て付けの悪い戸がけたたましい音を上げたから母親に見つかった。安普請の廊下すなわち玄関に屹立するや (more…)

菊を釣る宇宙の下で

菊を釣る宇宙の下で

今や下品な成金が膨大なエネルギーから二酸化炭素を排出して、宇宙へ飛び立つ時代になった。市井の私たちは毎朝、決死の覚悟を持って感染リスクの中をエネルギー消費の少ない鉄道で移動しているというのにだ。露わになった格差に環境まで破壊されるのだから遣る瀬がない―― (more…)

シンポジウムと冷凍標本の行方

シンポジウムと冷凍標本の行方

「冷凍の標本は差し上げますので」と参加者全員に配られた特定外来生物の巨大ザリガニだったが、熱を帯びた論議に解凍され、若干臭ってきたから気が気でない。これは果たして茹でられているのだろうかという心配の他にも、どうしても持ち帰らねばならぬのか、またその場合はどのように食すのかと (more…)

古典のアンバサダー

古典のアンバサダー

メーカー百周年の新刊に刺激を受けて分解しだしたのは、24金をボディにあしらった「リールのロールスロイス」こと、アンバサダー・デ・ラックス。近年、6000番台の別注品が集中して発売されたが、釣具というよりは貴金属、もはや財産であるそれを往事のフィールドで (more…)