人間万事さまざまの、世を渡り行く身のありさま、物ごとに遮る眼の前、光の陰をや送るらん——。様々の業を負って世間を渡っていくが、眼の前を移りゆく事物にとらわれて、日々の明け暮れを過ごしている人間だからこそ、真理を尋ねるように山へ分け入る (more…)
Category: Too Tough Traverse
霧中説霧の良い旅を
古い地図を買い換えに訪れた書店で会計を済ませると、商品と一緒に小さな声が手渡された。「――良い旅を」。厚いメガネの、いかにも書店員風の、恥ずかしそうなその一声に、旅情は始まっていた (more…)
岩谷瓦斯概論綱要
空路鉄路海路を伝い、雨降り島の山路を急ぐ。けれども風は佐多の岬を吹き抜けて、はや三岳につきにけり。はや三岳につきにけり――。
展望どころか、灰色の雲が島を呑み込み、ほとんど絶望という (more…)
無財の七施
都会では、ほとほと食事に困る。大衆店で大行列に巻き付かれ、老舗ではベラボーな代金を迫られた。消沈し軽食で済ませようとするも、パンはどれにしますか? トッピングは何にしますか? ポテトの味は――と、挫折すら (more…)
登りながら深層をさぐる
百の頂に登ると、何が見えてくるのだろう――。なるほどね、「二百名山」は百名山に連なる山も多いが、まるで知らなかった山域も少なくない。これは、終わらないのだね。ずっと (more…)