ついに海を望む。鉄道紀行文学で読んだ、牟岐線は田井ノ浜の臨時駅を、まさか歩いて訪れることになるとは露にも思わなかった。入り組んだ海岸線を遍路道は崖沿いに伝う。照葉樹が茂る色濃い緑の遊歩道で「俳句の径」となっており、潮騒が風光明媚を詠むままに (more…)
ついに海を望む。鉄道紀行文学で読んだ、牟岐線は田井ノ浜の臨時駅を、まさか歩いて訪れることになるとは露にも思わなかった。入り組んだ海岸線を遍路道は崖沿いに伝う。照葉樹が茂る色濃い緑の遊歩道で「俳句の径」となっており、潮騒が風光明媚を詠むままに (more…)
先を急ぐほどに、そのつまらなさを、身をもって実感してきたが、それでも大型連休の予定は変えられない。なぜなら、予定通りに帰らなければならないから――。そんな自らの不覚を十分に知りながら、また、最初の遍路宿で「通し打ち」の充実を見せられても (more…)
午後を過ぎてから降り出した雨が、菅笠を強く叩いていた。納経所には受付時間があるので、急いで歩く。道すがら、理容店の軒先で婆さんが倒れていたと言えば、嘘みたいな話だが、濡れながら倒れていたのだから、自分でも嘘だと思った (more…)
隣家のボンは引き籠もりだが、私にはそういった事情もなく、母親なんかも一応は元気で、私自身も他に求めるものが随分と少なくなってきた。また怨憎会苦などに悩まされるでもなく、むしろ騰騰任運を識ったかもしれぬ今、即ち此処で立ち上がる生を感じているのだとすれば、なるほどこれが解脱 (more…)
伯父から貰った万年筆が出てきたのだが、インクが出てこない。どうする、イマドキ文房具店なんてと調べると、専門店が割と近所に在り、しかも万年筆に詳しいという。おまけに結構繁盛していたから驚いた (more…)