最新式、古典の照らし方

最新式、古典の照らし方

怒りや悲しみを持った般若よりも、難しいのは純粋な登場人物を演じること。だから能では自然景観の描写が謡われるのだと、初回ゲストの能楽師が応えてくれた。舞台上に風景を立ち上がらせることが出来た観客は、なるほどそこに純粋を見ていたのだ。そも、なぜ山河や (more…)

ちょっと太くて油を含んだような

ちょっと太くて油を含んだような

「遅い、遅いって! 献花、頼んでおいたから」ゴメンごめん、おお、ありがとう、気が利くねって、どっさり届けられた花輪に腰を抜かした。いくら何でも頼みすぎじゃないの? せめて一つくらい、自分の会社名義で出しなよと小声で突いてみるも、金持ってるやつほど (more…)

第十九代湯守

第十九代湯守

五十度近い熱い湯を、首の裏側めがけて掛け続けるのが那須名物、その名も「かぶり湯」。常連の客はこのかぶり湯を絶対に欠かさない――。『ふだん着の温泉』というテレビ番組を書籍化した、懐かしい本にそう書いてあったが、今日日の那須温泉鹿の湯では (more…)

ノーバイトノーフィッシュ情報

ノーバイトノーフィッシュ情報

これ以上情報に振り回されないよう、少し前にSNSのアカウントを削除したのだが、遊漁券の販売所を調べようとインターネットに接続した途端、「え、ウソ、こんなのがじゃんじゃん釣れるの?」怒濤の如く溢れてきた虹鱒の放流情報に振り回された (more…)

熱中症気味の詩情

熱中症気味の詩情

このあいだー教えてもらった温泉ーすっごい良かったですー。でしょー。へ、山にも行ったの? あそう、それは良かった――。いつから聞耳を立てていたのか分からないが、ずっと黙っていた若人が過敏に反応し、もはや居ても立っても居られない様子で (more…)