Late autumn

Late autumn

時雨を急ぐ紅葉狩り、深き山路を尋ねん――
小屋を叩く雨音に逡巡していたが、飛び出せば秋風索寞の山は霧襖に開かれた。
道はすでに拓けていた。
Over the great ridge

Over the great ridge

「あんまり山が物凄いので」と、詩人は物語の中に著した。
一面を盲目の純世界に仕立てていた雲の中から、音もなく顕れた山の稜線に息を呑まされた。
とこしえに続く緑の上にあふれ出した刹那の赤が、洪水を引き起こして胸の内に迫り来る。
なんとか絞り出したその言葉だったが、感動というよりはむしろ畏れに近かった。
Have a wandering

Have a wandering

迷いのうちに見出したことが縁になる
それはジプシーが唄うに希望があるように
彷徨いが落陽に導かれて行くように
生きるための歩みを知らなくてもよいが
導かれていることに気付かなければ
彩られることはないだろう
Invisible summit

Invisible summit

p_04

もっともらしい顔をして話しかけてくるのは、不自由な生き方だ。
少し大げさな道徳や振りかざされた正義だってそうなのかもしれない。それでも誰かの言葉に寄り添えば安心で居られるから、誰かと同じであることがたとえ不自由の中にあったとしても、やっぱりそのもっともらしい話に耳を傾ける。
アナタの選べなかった自由がいつしか溺れた酒にため息まじりで嘆くとすれば、運命——といったところでしょうか。
運命なんて、いつでも自分の手の中にあるのにね。