ユー・マスト・ダイ

川越辺りで女子高生が乗車してきた途端、サッと席が空いた。その空席にドサッと鞄が複数個投げ入られると同時に車内はけたたましい声に席巻され、座ったと思ったら今度は中腰になって、スカートの下に履いていた運動着の裾をまくり上げてミニスカート姿に変身するも、なぜかそのまま中腰状態でおしゃべりが続く。恐るべし――、と見ていれば、なに見てんだあ! と本気で怒鳴られそうだったので、車窓の風景を飽かず眺めていた。私も避難すれば良かった。

旅先で飲んだ越中の酒が、よく熟成された枯淡の味わいだった。土産にした一升瓶もすぐに空いてしまったのでさっそく追加注文を、としたところに寒波襲来。こんなときに配達してもらうのは忍びなく、週末の会合まで我慢。今回は老舗で河豚をリーズナブルに愉しんだが、この「老舗」を皆で改める。しかし老舗はそれ故に酒が悪いことも多く、美酒佳肴なかなか両雄並び立たず。しかも格安で、というのだから難しいが、それが楽しいか。二次会のバーも古い店で、「ニートで」の注文が珍しく通って笑いが起きたが、垣間見えてきた老舗たり得る理由を飲み過ぎて忘れてしまった。

上州での狂言を観る会は、いよいよ解説書には掲載されていない曲ばかりになってきた。滅多にかからない曲だから能楽師は本当に大変だろうが、それを続けて三曲、しかも自分の役の詞章だけでなく、すべて頭に入っているというのだから改めて芸能者、恐るべし。

読んだ本はたくさんあれども、一年後に読み返すと吃驚するほど覚えてないじゃん。舞台も色んなところで観ているのに、頭の悪さにほんと悲しくなる。酒呑んで投げ出したくなるばかりだけれども、いつかなにかのときにぽろっと出てきてくれることを信じて、今は現実だけを直視し、勇気を奮って娘っ子らを叱ってやりたいと思う。