日立アルプスというのには昨年登ったが、栗や陶器だけでなく、アルプスが笠間にもあるらしい。ご当地アルプス、若干面倒くさいと思いつつも、常磐線と水戸線の間を縦走していくのは楽しそう。軽い気持ちで駅舎に降り立ったのだが、烈しく急で長ーい神社の石段を登らされたあたりで、気付く。最高所が五百米の低山なのに、累積標高は千米・・・・・・。
傷付いた体を引きずりながら、翌日は水郡線に揺られた。男体山の「健脚コース」というのを目指してきたのだが、その山容を車窓から覗いて、また今度にしようと、降車予定の駅を乗り過ごした。
一応というか歴とした釣り人なので、プライベートポンドやカーティスクリークならぬ、観光客の知らない名瀑を多く知っているつもりだったが、言わずと知れた袋田の滝に大感激。冬とも春とも言えぬ微妙な季節でもこの美しさなのだから、これは西行法師の言う通り、四季毎に愛でなければならない名瀑だと、いまさら。
次の季節には郡山から乗ってこようと、復路の水郡線が橋梁を渡るそのときだった。本流で竿を振る釣り人の、並々ならぬ熱気、いや殺気が、川面から橋梁に昇り、レールを這って、車窓越しに釣り人を呼び起こした。
もしや、サクラマス――。おお、そうだった。遡上数は少ないとされるものの、この河は桜鱒が遡ってくる名川。
気付けば、すでにシーズンイン。列車に揺られている場合か。