In the traffic jam

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渋滞の関越道がニュース番組に映し出されていた。
短い休暇の終わりを告げる夕暮れがストップランプの赤色群に落ちていくと、揃って縦列を組む箱形のファミリーカーの車内から、小さな光りの塊が躍りながら浮かび上がってきた。モニターに映し出されたアニメ映画は幼子たちを退屈させないようになのか、はたまた寝かしつけるためなのか。停滞する中を飛び跳ねては、規則的に折り重なって渋滞路に続く。
繰り返し読まれる情報の中をまるで逆走するかのように、小さな車が下り車線を走ってきた。ヘッドランプに細い灯りを点らせた古い英国車だ。甲高いエンジン音を響かせて、画面中央へとゆっくり向かってくる。四人の家族を乗せてくる。
艶のない白い屋根に色あせた緑の車体は、やっぱり遅くて、窮屈で、退屈かもしれないけれど、一際輝きながら夕暮れの物悲しさなんて拭い去るようにして走るから、車は家族の特別な時間を乗せているように思わせた。
続く渋滞路に浮かんだモニターの光りが、どこか感情を欠いたように冷たく映る。
子供たちは父の話を覚えているのだろうか。母の笑顔を覚えているのだろうか。