妹にときめく

人生は絶対に諦めてはいけない——

とても強い言葉で大関稀勢の里の初優勝を讃えた紙面の記憶が遠くないうちに、横綱昇進後の大阪場所では怪我を押しての奇跡の逆転優勝。感涙乾ききらないまま、今度はその怪我に苦しみ連続休場。暗雲垂れ込めた四横綱時代はいよいよ三横綱の不在という異例の九月場所に。それでも満身創痍の横綱日馬富士の大逆転劇に沸いた千秋楽は、国技館の二階席で声を枯らして涙しました。そんな先場所の興奮も覚めやらぬうちに、一年納めの九州場所の幕が上がってしまいました。

相撲史でしか一年を振り返られない体たらくは、ようやく正月気分が抜けてきた頃にまた正月が近づいてくるという、相変わらず。明日明日に迫り来る年の瀬を前にして例年のごとく焦りだしてみても、もはや手遅れの感はまるで否めませんが、一応、言ってみることにしました。あけましておめでとうございます!

月日が経つのは本当に早いもので、いつまでもそれは遠い日の花火ではないと思っていたけれど、今は夏の日が確実に暮れて行くことを実感しています。それでも、今年の夏も、KINCHOラジオ小説が大変秀逸でございました。

姉のお下がりだという浴衣姿で現れた第三話の夏祭り。少女の早熟の理由が「妹」であることに合点すれば、青少年の純情なんて当然なす術もなく、大胆なその誘いは中年の純情をも大いに揺さぶった昨年の金鳥少年シリーズ。続編はいきなり森へ誘い出されたり、田村とかいう教育実習生の車に口紅を引いて同乗した少女の早熟に今年も弄されて行きます。勇気が、いや、ワンプッシュが足りない青少年のもどかしさに、在りし日の自分を重ねたのはきっと私だけではないはず。

魚釣りや山登りに興じる際など、いつもはハッカ油を自分でブレンドした虫除けを使用していましたが、そんなコマーシャルに触発されて今年は既製品を購入。昨今話題のマダニにも効果があるということで進んで使用しましたが、いきなり遠征先の渓流でマダニに刺されました——

死亡例も多くあるマダニが媒介するウイルス感染。帰路で立ち寄った温泉ではまったく気付かずに、帰宅後、横腹に頭を埋めて吸血を始めていた小さな存在に気付いたときは、血の気が引きました。重症熱性ナントカと嫌に長い感染症の名に、頭にも鈍痛が走るような土曜日の夜。せめて翌日が診察日ならと頭を抱える私を尻目に、マダニは吸血を続けて、その小さな体を成長させていきます。ウイルス、媒介、感染症——

——人生は絶対に諦めてはいけない

横腹にマダニを着けたまま、総合病院の緊急外来へ—— 積もる話はまたゆっくりと。