手仕事の軽減税率

土産を選んでいるときの楽しさと言ったら。どうして楽しいのかと改めて考えれば、それはきっと他者のことを思っているからだろう。「贈り物ですか」問われて、つい答えてしまいそうだったが、今日は、たまには、自分への土産と決めていた

海鼠釉という釉薬により顕れた色は、水際立つというよりは、どこか儚くも優しい青。「出羽の雪のかげりの色」と聞いて、想像するだけでもとても美しい色だったが、まさにその通りの青だった。手に持つと徳利の首は細く持ちやすく、反りながら合わさった注ぎ口は水切れが良さそう。形は変ですがと、窯元に渡された少し凸凹したぐい呑みもまた、親指と人差し指の中で輪になって持ちやすい。

なるほどこれが『手仕事の日本』かと、柳宗悦のそれは——まだ読んでいなかったが、特集した雑誌で海鼠釉の酒器に魅せられてから、欲しくて欲しくて。徳利が三千円、ぐい呑みが一つ千五百円。声には出さずに一度唸って、決めた!

 

「七千九百二十円です」

笑顔の女性店員が弾き出した電卓をのぞき込み、一瞬、頭が飛ぶ。——なぜどうしてそうなった?二十円?軽減税率か?いや、そもそも軽減されていないではないか。

あのぅ、と意を決した小さな声は「通らない!」。渡していたアメックスのカードが通らない「通らない!」のだと、ヒステリックな声にかき消されて、私は(激しく動揺し)慌てて現金を出した。酒器を包みながら、冷や汗を滲ませていた窯元が(同じく激しく動揺し)よ、良かったらこれもどうぞと、そこら辺にあった器を包み始めたのだった。

どこか儚くも優しい手仕事の青が、一夏の旅の思い出に滲む。

帰省すると酒や書籍、諸々が届けられていた。何より嬉しいのは思ってくれたこと。晩酌が楽しみ