アダムス山へ第一歩

今季に目指す山塊は北アルプス、黒部の源流域にて日本の最深部である雲ノ平。最も遠い秘境で湧く高天原の温泉を浴びるため、登山靴を新調することにした。大きくないザックにテントと一升瓶をパッキングできるのは、同行してくれる旧友の存在がとても大きいのだが、連泊の自炊テント泊でも随分と荷物を減らせるようになってきた。頑丈な作りの縦走モデルには憧れるが、歩きやすそうな軽い靴も気になるところ。

豊富なモデルを並べる大型店であれこれと試してみるも、合わない靴のサイズよりも乗らないのは気分かな。どうしても感じてしまう、ICIやモンベルへの抵抗感。かと言って隣町のアウトドアショップと言えば、かつてはほんとうのプロショップだったが地域の釣具店と同様、相当レベルが低い(だから個人輸入への食指が動いたのかもしれないが)。

国産品はきっと品が良く、性能も良いのだろうけれど、どうにも面倒な性格で。欧州メーカーの日本モデルというのも引っかかる。妙に幅広のワイズを訝しんでいると「ジャパンフィット・モデルです♪」いつのまにか忍び寄っていた店員が笑う。良かったですね、ジャパンフィットがあってと言わんばかりに——。オーノー、そういうのが嫌なのに。そもそも私の足は幅広ではないし、やっぱり誰かと同じじゃつまらない。自分らしくもない行動を悔いた。

ワシントン州の火山、アダムス山に登るため、欧州の登山靴を参考にして作られたというハイキングブーツ。その名も「Mt. Adams」。クーポンセールで、$179で購入できた。サイズはワイズともにフィット。軽量にして頑丈な作りで無骨とまでは言えないが、なんだろう。この胸の高鳴るのはなんだろう。

性能よりも品質よりも、求めてしまうものがある。日本では販売していないことも大きな魅力の一つだ。そもそも、このメーカーのブーツは国内で買ってはいけない、というより本国モデルでないと意味がない。

本国のカタログには一切出てこない謎のモデルに、国内市場では高額の値札がつけられる。反面、たとえばゆかしいフォルムのJack Ⅱなんかは米国製ではないにしろ、半額セールで超お買い得♪ ちゃんと考えないと、つまらないと思うのです。

しかし、高天原に着く前にすでに楽しいのはなんでだろう。