土俵祭と相撲塾

一月場所を目前にして発覚した立行司による不祥事はこれまた、その内容がなんとも。。場所開催の前日に行われた土俵祭を観てきたが、祭主を努めたのは式守伊之助ではなく三役格の式守勘太夫だった。張りのあるその独特の太い声で祝詞は読み上げられ、立行司の不在という土俵祭ではあったが滞りなく執り行われた。

日馬富士の最後の優勝となってしまった去る九月場所の優勝額が、十一月場所の優勝額と並べて国技館の入口に立て掛けられていたが、紋付袴姿で記念撮影に応じていたのは当然のことながら白鵬一人。日馬富士のそれは除幕式も行われないのだというから哀しい。横綱の大ファンであった者の心情を投影するにはなんだか安っぽいような気もするが、ぽっかり空いた心を通り過ぎたのはやはり、日馬富士、ロス——(ちなみに引退会見の日は会社を休みました)

未だにもやもやとしたままで、初日を迎える大相撲一月場所。信頼回復の場所となるか——

 

土俵祭の後は相撲教習所にて行われた相撲塾へ。今回の基調は元朝赤龍、錦島親方が語る相撲人生。終始和やかに語られたエピソードの数々がファンの笑いを誘い、立ち見も出た大盛況の会場を沸かせた。初めての飛行機で初めての海が見えてくると、一緒に来日した元横綱朝青龍と窓際の席を取り合って見入ったという。大草原を飛び出して、まだ知らぬ大海原へと旅だった異国の若者たちを待ち受けていたのは、言葉や文化の壁だけではなく、厳しい稽古は当然のことだが、それよりも辛い偏見などもあったのかもしれない。日本の相撲に鍛え上げられて、ついには親方となり、日本の大相撲のために後進の育成にあたる。日本人のそれよりも強い気概を持っていることをおくびにも出さない親方の笑顔には、その人柄がにじみ出ていた。

ふれ太鼓が教習所にも回ってきた。「白鵬には阿武咲じゃぞぇ〜」初日の取組を読み上げる呼出しに、おぉぉ!と歓声が上がった(もちろん、皆分かっているけれどもリアクション)。日本文化がそのまま残された大相撲の世界が、穏やかな陽射しの下で新しい春を告げる。打ち鳴らされた太鼓の音にいよいよ気分は高揚してきた。

 

なんともいい笑顔の錦島親方と同部屋の行司木村朝之助。気は優しく力持ち、やはり相撲人はこうでなくては。