お嬢様はきっと秘湯が苦手

お嬢様はきっと秘湯が苦手

いつの間にか恒例となった、母を連れ立っての紅葉登山旅。今年は二百名山の森吉山を目標にしたのだが、降りしきる秋雨が山頂付近では雪に変わっていた。早々にBプランへ切り替えて、秋田内陸線で温泉を目指した (more…)

石橋を渡る

石橋を渡る

人間万事さまざまの、世を渡り行く身のありさま、物ごとに遮る眼の前、光の陰をや送るらん——。様々の業を負って世間を渡っていくが、眼の前を移りゆく事物にとらわれて、日々の明け暮れを過ごしている人間だからこそ、真理を尋ねるように山へ分け入る (more…)

より簡素なものに

より簡素なものに

放蕩した孫の借金に苦しめられた晩年の葛飾北斎は、毎朝まず獅子を描いてからでないと人に会わなかったという。国立能楽堂の開場四十周年記念公演で上演された「獅子聟」は、大蔵流山本東次郎家のみに伝わる秘曲で (more…)

駅前旅館にて

駅前旅館にて

ホテル暮らしは快適だけれども、そもそも私は旅館派ではなかったか。急に恥ずかしくなって駅前旅館に移ってきたのだが、恐ろしく日当たりが悪いのかそれとも電灯が壊れているだけなのか。なにやらが玄関で鬱蒼と茂っていた (more…)