湯がわいてゐる

湯がわいてゐる

相手のまわしに喰らい付くようにして優位な体勢を作る取り口が、かつての横綱鶴竜を彷彿とさせてきた大関霧島。早くも綱取りとなる来場所を展望しながら、九州場所で優勝した霧島の話ばかりしていたからだろうか。霧島連山へ行ってきたものだと思われ (more…)

さらば、阿房自動車

さらば、阿房自動車

若い頃は「クルマ」も、一つの自分であるかのように思っていたのだが、ということは何か。「アホウ」だったということか——。そんな阿房自動車への執着からようやく逃れられると、次に見えてきたのは、モデルが一代ないし二代で生産終了 (more…)

お嬢様はきっと秘湯が苦手

お嬢様はきっと秘湯が苦手

いつの間にか恒例となった、母を連れ立っての紅葉登山旅。今年は二百名山の森吉山を目標にしたのだが、降りしきる秋雨が山頂付近では雪に変わっていた。早々にBプランへ切り替えて、秋田内陸線で温泉を目指した (more…)

石橋を渡る

石橋を渡る

人間万事さまざまの、世を渡り行く身のありさま、物ごとに遮る眼の前、光の陰をや送るらん——。様々の業を負って世間を渡っていくが、眼の前を移りゆく事物にとらわれて、日々の明け暮れを過ごしている人間だからこそ、真理を尋ねるように山へ分け入る (more…)

より簡素なものに

より簡素なものに

放蕩した孫の借金に苦しめられた晩年の葛飾北斎は、毎朝まず獅子を描いてからでないと人に会わなかったという。国立能楽堂の開場四十周年記念公演で上演された「獅子聟」は、大蔵流山本東次郎家のみに伝わる秘曲で (more…)