丸子の領収証

丸子の領収証

秋田沖で使えなくなるという謎の症状を改善すべく、乗り込んだ船の操舵室。案外小さい舵は模擬運転やゲームセンターのようだったが、港を見下ろす迫力はさすがの一言に尽きた。出港までの短い滞在を、屈強な航海士たちが忙しなく動き回っている。その中で気圧されていると、急に喉が痛みだした。鼻はぐずり、一気に集中力が削がれていく (more…)

はじめての精進料理

はじめての精進料理

田舎町の交差点で、競泳の池江璃花子選手とすれ違った。私服でぶらぶらと散策中のようだったが、さすがはアスリート。肩幅からして常人と違う。私のあまりの凝視に思わず振り返った顔には、特徴のある黒子がふたつ。確信して、すぐ前を歩いていた同僚に追いつくと (more…)

青春の切符

青春の切符

出勤するよりも早い時間に改札を通った。どっさり酒を携えて、旧友たちと乗り込んだ休日のローカル線が出発のベルを待つ。狭いボックス席で寄せ合う肩が少し照れくさいから、早く乾杯するようにと誰かが促した。 (more…)

八甲田の主峰

八甲田の主峰

先週までシカゴへ出張していたという旧友に、「遠いね!」と言われた青森出張——

夏の休暇を二つ使い、青森の温泉を集中して巡ったことがあった。井上靖の小説「海峡」の終幕の舞台である下風呂温泉は、すぐ先に津軽海峡を臨む小さな漁師町。訪れた日の海は残念ながら雨に打たれていたが、晴れた夏の夜には下風呂沖だけでなく、北海に灯された漁火までもが (more…)

伊豆の踊り子号

伊豆の踊り子号

185系の特急「踊り子」号が終点の駅で、次の出発までの間、老体を休めていた。いよいよ引退を迎えるその姿には、隔世の感があった。子供心にカッコ悪いなぁと思い続けてきた車両も、今や最後の国鉄型車両だという。私も齢を重ね、ようやく古ぼけた緑のストライプに感じ入ることができたのだが、ジーザス。何も考えずに、三島まで (more…)