はじめての精進料理

田舎町の交差点で、競泳の池江璃花子選手とすれ違った。私服でぶらぶらと散策中のようだったが、さすがはアスリート。肩幅からして常人と違う。私のあまりの凝視に思わず振り返った顔には、特徴のある黒子がふたつ。確信して、すぐ前を歩いていた同僚に追いつくと「また始まったよ」と一蹴された。

何がまたなのか定かではなかったが、後日、合宿でその町に滞在していたことが判明。それからは先日の通り、出場全種目の記録更新だ。だから言ったじゃないか、俺はあの交差点で、JWP女子プロレスの日向あずみ選手と米山香織選手にも会ったことがあると!もっとも、こちらは明らかに体格が違ったが。

体が資本のアスリートはなおのこと、すべての人を作るのは食べ物の他ならない。だから食べ物から見直せよと、ひどい花粉症に悩む同僚に助言するも「また始まったよ」。だからまたって何——?

芋たこなんきんは女性の好み。旬ではないが、料理本に倣って男子、今夜はカボチャを煮る

様々なアレルギーに悩まされる現代日本。それらに効果があるのは、食物繊維をたっぷり摂取することのできる「精進料理」なんだとか。化学の進歩が一周回って精進料理へとたどり着いたとするならば、所業あまりの愚かさは笑えることではありません。

レンジでできたての加工食品に何時でも開いているコンビニ、どこにでもある外食チェーン店と、便利な生活ほど陥りやすくなるのが現代病の罠。加えて、エナジードリンクや刺激の強いアルコール添加の酒や飲料に痺れる時代ときたもんだ。薬品に漬け込まれることを消毒として、練り込まれる添加物を屁とも思わないのなら、見えてくる結末は抗ウイルス薬で暴走するのと同じではないかと。

基礎から精進料理を学んでみようと手にした料理本「はじめての精進料理」には、野菜本来の味を際立たせるために不可欠な出汁の取り方が丁寧に書かれていた。水から昆布を煮て出汁を取ることはそんなに時間を要さず、カツオ節を削る手間がどれだけ惜しいのかと問われれば答えに窮した。

当たり前だったことが一度面倒になると、後戻りは容易くない。あるから作らない(便利)ないから作る(不便)まともなのは後者であって、びっくりするほど美味しくできたりもする。なんでこんなに簡単なことができないのだろうか。

友人が拵えた手作り柚子ポン酢(ラベルがカッコイイ)。こういうのが食べたい

美食の追求は煩悩に変わるとして、精進料理ではネギやタマネギ、ニンニクなどの味や臭いの強い食材を使わず、枯淡な食材を用いる。節度ある食生活の中にこそ、心底の感謝が生まれてくるという。手間と工夫を惜しまないことは食材への敬意にもつながり、野菜の皮を薄くむき、余すところなく使い切れば自ずとゴミも減る。

欲の突っ張った皮が循環しないゴミとして蓄積されていく現代に、再考しなければならないのは「質素」のことかもしれません。

(池江璃花子選手、やっぱりすごい美人だったということも付け加えておきます♪)