ジョージア出身、春日野部屋

予想外の伏兵、平幕の栃ノ心が単独トップで優勝争いを走る、大相撲一月場所十三日目。優勝を占う一番は、今場所好調で以前の怪物感を取り戻してきた逸ノ城戦という、好取組が組まれた。怪力同士の相四つは、予想通りがっぷりに組んでの力相撲。引きつけ合いから腰を落として逸ノ城の上手を切り、すかさず引きつけて前に出て寄り切った。

十四日目は二階席から祈る気持ちで初優勝の行方を見守った。(明日の千秋楽は仕事でどうしても国技館に来られないから)頼む!今日で決めてくれ、栃ノ心——!突き立てる松鳳山を受け止めて突き返すも、いなされて泳がされた。それでも反応よく素早く向き直って捕まえると、左に組んで胸を合わせて寄り切った。初優勝を決めた栃ノ心に、大歓声と暖かな拍手が鳴り止まない。館内は春らしく爽やかな感動に包まれた。

 

銀鼠のまわしは師匠のお古。親方のが欲しいと言われ、同じ色のことかと思ったら、親方が使っていたその締め込みが欲しいのだと言われて、少し困惑したという春日野親方のエピソードを思い出した。親が絶対の、究極の縦社会である大相撲の世界。そこで芽生える強い師弟愛が、どれだけ揺るぎない絆であるかを示してくれたのは、嬉しいことに外国出身の力士だった。やんやとうるさい土俵下をまさしく正攻法の力で寄り切って、よくぞ春日野部屋に優勝旗を持ち帰ってくれた。栃ノ心のその力強い相撲内容もさることながら、今場所は予想外の展開も含めてとても面白かった。

ちゃんこ茶屋からほろ酔い気分の帰り道、大江戸線で休場中の栃煌山(同じく春日野部屋)にばったり。そういえば数年前、栃煌山にも優勝の好機があったことを思い出した。最後は気持ちの強い方が勝つ、それは今場所の栃ノ心を見ての通り。なんだかいつも白鵬に鴨られている節のある栃煌山だが(ぁ、栃ノ心も白鵬には未だ勝利なし)、腐るにはまだ早い。春日野部屋の部屋頭はやはり栃煌山でなきゃ。心の中で激励し、怪我の回復を祈った。

 

今場所新入幕の竜電も見事な復活劇で敢闘賞を受賞。栃ノ心とは同期であったが、大怪我により番付を序ノ口まで落としてからの復活は栃ノ心を凌ぐ。地獄を見た男の躍進はきっと大阪場所でも止まらないだろう。春らしい明るい色の羽織袴がよく似合う好漢は、錦絵みたいで抜群に格好いい。

そして新たな注目の小兵力士、宮城野部屋の炎鵬は十三日目で、こちらも若手の有望株、巨漢の湘南乃海との相星決戦を制して見事に出世を決めた。差して潜ってから下手投げを連発、鮮やかにも見えたその技に期待は高まるばかり。未来の大相撲もこれまた面白くなると、また目が離せない。

 

しかし、カメラのフォーカスがおかしい。どういうわけか、自ずと美人にピントが合ってしまう。故障か——?

集中できないじゃないか